障がい者と犯罪

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姉刺殺の被告に求刑上回る懲役20年の判決(2012年7月30日21時34分 読売新聞)

 昨年7月、自宅を訪ねてきた姉(当時46歳)を包丁で刺殺したとして殺人罪に問われた大阪市平野区の無職大東一広被告(42)の裁判員裁判の判決が30日、大阪地裁であった。

 

 河原俊也裁判長は、大東被告が広汎性発達障害の一つである「アスペルガー症候群」だと認定。「社会内にこの障害に対応できる受け皿が用意されていない現状では、再犯の恐れが強く心配される」として求刑(懲役16年)を上回る懲役20年を言い渡した。

 大東被告は同月の逮捕後、大阪地検の精神鑑定で、この障害があると診断された。地検は刑事責任能力に問題はないとして昨年11月に起訴。公判で大東被告は罪を認め、弁護側は、犯行には障害が影響したと主張。保護観察付きの執行猶予判決を求めた。

 判決で河原裁判長は「約30年間、自宅に引きこもっていた被告の自立を促した姉に恨みを募らせた」などと動機を認定。障害の犯行への影響を認めたが、「量刑で大きく考慮することは相当でない」として量刑面の弁護側の主張を退けた。

 一方で、障害に対応できる受け皿が社会に整っていないとの認識を示し、「十分な反省のないまま社会復帰すれば、同様の犯行に及ぶことが心配される」と指摘。量刑判断に社会秩序の維持の観点も重要として「殺人罪の有期懲役刑の上限で処すべきだ」と述べた。

 ◆アスペルガー症候群◆ 生まれつきの脳機能障害が原因とされる。著しい言葉の遅れや知的障害は見られないが、対人関係の構築や感情のコントロールが苦手とされ、周囲から理解されにくい面がある。

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この記事、かなり、考えさせられました。

ここには書いていないけど、生き残った家族でさえ受け入れを拒否したそうです。

ネット上では、英断だったという意見と、こんな判決が人権違反であってはならないっていう意見と色々ですね。
色々と意見があって当然だし、両者の意見とも正しいように思います。

山本譲司さんの本「累犯障害者」という本を読むとニュースには絶対にならない一面を読むことができます。
再犯の恐れがあるなしの問題以前に、刑務所が行き場のない障害者の最後のセーフティーネットになっている現実も実際にあり、わざと犯罪を犯して、刑務所に入る人も後を絶たないそうです。

じゃ、そういう施設を増やしていけばいいのか。
確かにそうなのですが、それすらできないって知っていますか?

先日、ある上映会の席。監督さんとの質疑応答の時間で、お客さんのひとりが手をあげ突然「近くに障害者施設が出来ようとしたら、反対運動がおきた」と話していました。
途端、会場がどよめきました。監督も慌てて聞き返していました。

実は、これ実際にある話なのです。
要は、施設ができると不審者が増え犯罪が増える、時価が下がる、という、「えっ?」と耳を疑ってしまう言葉が、どこかしら出てくるそうです。
そして、それが大きくなり反対運動となる。

随分昔にNNNドキュメント『ふるさと東京を離れて』というのを見てびっくりしたのだけど、一時期、都では、反対運動をはじめとした地元の理解不足や時価 の高騰などにより、施設を増やすことが出来ず、苦肉の策として秋田に施設を建設し、身寄りのない障害者をその施設に送ることをしていました。
今でも秋田には東京都管轄の施設が点在しているそうです。

あまりに理解がなさ過ぎなのです。

勿論、犯罪は犯罪として裁かれるべきだとは思うけど、社会に受け皿さえあれば、いくらでも防げる犯罪が沢山あるのです。
障がいがあるなしにかかわらず、たった一つの「違い」から社会から弾かれてしまう人が沢山いるのです。

だから、司法が悪いとか、法律がどうのではなく、社会全体が起こした事件なんだということを自覚した方が良いと思うのです。

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このページは、Nipopoが2012年8月 2日 03:15に書いたブログ記事です。

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